5月に京都の書店を何軒か訪れた際に家人が購入したのを借りて読む。
古風で端正な文章で綴られる星座・星談義は魅力的なのだけど、何より「これほどの星々を自分が目にする機会はこれから先あまり無いのだろうなぁ」と思ってしまうのが悲しい。いやまぁ、星を観ようと思えば、そういう環境に足を運べばいいのだけど、なかなかね……。
ところでこの本、古書として購入したのだけど、ところどころに書き込みがある。図書館の本なら「けしからん」と言うべきところだが、誰かが保有していたものなのだから、しかたがない(私自身は自ら保有する本でさえ書き込みをしないタイプなのだけど、自分の本なら人それぞれである)。
が、その書き込みが一つ一つ、細かい字で丹念にこの本の誤りを訂正する内容なのだ。単に誤記・誤植の類と思われるものが多く、訂正は的確であるように見える。いわば校正で赤を入れたような感じ(普通の鉛筆のようだが)。
奥付の上には、蔵書印こそないものの、購入した日付・場所と読了した日が、本文中の書き込みと同じ筆跡で記してある。この文庫版は、2002年11月25日に発行されているのだが、この読者は、同月29日に購入し、その日のうちに読了している。何カ所も校正を入れつつ、そのペースで読めるというのは、恐らく、この読者もひとかどの星の専門家なのではないかと想像する。