月別アーカイブ: 2016年6月

呼び覚まされる 霊性の震災学 : 金菱 清(ゼミナール)

「被災地、タクシーに乗る幽霊」の記事が話題になったのは1月。東北学院大学の学部生たちによるものなので、1本1本の論文はさすがに質・量とも物足りない感じがするが、それでも面白い(読み進めていて、なんかこれはしっかりしていると思ったら、指導教官が書いたものが1本入っていた・笑)。

途中、さすがに読むのがしんどいものもあるが、それも含めて、いまのこの社会から抹消されている「死」に正面から向かい合った調査の記録だと言えると思う。

ちなみに「タクシーに乗る幽霊」の話は冒頭の一篇。これももちろん質的には言いたいことはあるが、それでも興味深い。

たぶん私は「幽霊なんて信じない」タイプの人間だと思われているような気がするけど、実はそうでもない。

ややこしい話ですが、「幽霊の存在を信じている」わけではないけど、「幽霊なんて存在しない」とも思わない、ということです。

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民主主義を直感するために (犀の教室) : 國分功一郎

これもコンピレーションもので、冒頭「パリのデモから」など、すでに読んだことのある文章も含まれているのだけど、巻末の「辺野古を直感するために」が気になったので、近所の書店で購入。

政治とはちょっと離れるが、「インフォ・プア・フード/インフォ・リッチ・フード」が面白い。これを読んだ直後に「互閃」の料理をいただいたので、なおさら。あまりにも美味しい料理を食べていると、人はだんだん無口になっていくのではないか。わーわーお喋りをするには、「ほどほど」の店が良い(笑)

 

民主主義を直感するために (犀の教室) : 國分功一郎 : 本 : Amazon.

独裁―近代主権論の起源からプロレタリア階級闘争まで : カール シュミット, 田中 浩, 原田 武雄

國分功一郎が、「こうしたもっともらしい理論に惑わされないためには、その理論についてあらかじめ知っておかなければならない」と書いている(笑) 読んでみたいけど、岩波文庫の別の著作の方が読みやすいかな。

 

独裁―近代主権論の起源からプロレタリア階級闘争まで : カール シュミット, 田中 浩, 原田 武雄 : 本 : Amazon.

憲法の無意識 (岩波新書) : 柄谷 行人

四部構成にはなっているけど、第三部・第四部は「憲法の無意識」というテーマからは離れていくし、なんかまとまり悪いなぁと思っていたら、あとがき(の後半)で、これもコンピレーションものであることが判明。ちょっとムリヤリ感があって印象悪い。

本題の「憲法の無意識」論については……「おはなし」としては、まぁ面白いけど、という感じかな。憲法のような論件について、何ら現実の行動につながりようのない説を立てることに意味があるのか、というと……ちょっと面白いからいいか。

憲法の無意識 (岩波新書) : 柄谷 行人 : 本 : Amazon.

日本会議の研究 (扶桑社新書) : 菅野 完

話題の書。

う~ん、日本会議及びその周辺の人々が、どうやって今の状況を築いてきたのかという分析は興味深いし、リベラル側が参考にすべき点も多々あると思うから、この本の意義がないとはいわない。

でも、さすがに終盤、「これじゃよくある陰謀論になってしまわないか?」という雰囲気が濃くなってくる。最後の「淵源」の部分は、流れとしては自然なのだけど、この本の価値を下げている気がするなぁ。1人のカリスマ的黒幕にたどり着いて終わり(しかもその人物には取材すらできていない)、というのでは……。

というわけで、読む価値はあると思うけど、それなりに割り引いて受け止めた方がいいように思う。

 

 

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呪いの時代 (新潮文庫) | 内田 樹

近年、ウチダ先生の本はあまりにもたくさん出るし、何か読んだ記憶のあるブログ記事のコンピレーションだったり、いずれにせよ同じことを繰り返し主張しているだけだし、あまり熱心に追いかけず、文庫になったら買うかぁとか、kindleでいいかぁという感じ。

と、ひどいことを書いているが(笑)、それでももちろん、

読めば得るものがある。ネットを中心に、過度に攻撃的になる人が目立っているのにはどういう背景があるのか、というあたりの話。

 

 

呪いの時代 (新潮文庫) | 内田 樹 | 本 | Amazon.co.jp.