月別アーカイブ: 2018年4月

J. K. Rowling, Harry Potter and the Prisoner of Azkaban (Kindle version)

3作目。やっぱり一週間くらいかかったけど、Amazonでの紹介だと前作より100頁くらい多いようだから、やはり多少は読むのが速くなっているのかな。

「前2作の展開からして、これが伏線だな」とか思っていると全然違っていたりするので、筋立てそのものは面白いといえば面白いのだけど、少しばかり……飽きてきた(早すぎ?) 理由はいくつかあって、キャラクターが固定化されすぎているのと、基本的に舞台が学校内に限定されていること(これは次作あたりで広がっていくのだろうか)。あと、児童文学としては盛り上がるところなのかもしれないけど、Quidditchの試合のシーンがわりとワンパターンで退屈してしまう……。

例によってDumbledore先生のお話。”The consequence of our actions are always so complicated, so diverse, that predicting the future is a very difficult business indeed. ” と、 “But trust me  …  the time may come when you will be glad you saved his life.” は、モリアでガンダルフがフロドに言ったことを思い出させる。

紙の方ではどうか分からないけど、kindle版だと(翻訳でも)、終った後に次作の冒頭部分が読めるので、つい次も買ってしまいそうだ。

 

清水潔『「南京事件」を調査せよ』(文春文庫)

Twitterなどでも良く名前を見る著者だし(と思ったがフォローしていなかった??)、主題に興味もあるので読んでみた。

本書でも参考文献に挙げられている『南京大虐殺否定論13のウソ』を読んでいたこともあり、事件の解釈自体には(個人的には)新鮮味はないのだけど、歴史修正主義者の論法を「一点突破型」とする説明には膝を打った。

しかしそれより何より、この本の優れたところは、「(後代に)謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」という安倍の言葉に対して、正面から疑問を投げかけるところにあるように思う。そして、その疑問を私も共有する。

 

 

 

岡野大嗣『サイレンと犀 (新鋭短歌シリーズ16) 』(書肆侃侃房)

誰かのSNS投稿で知って、図書館で借りてみた。

現代短歌にはどうもある種の癖というか流行りがあるような気がして、ときどきそれが鼻につく気がするのだけど、とはいえ、よい歌もいくつもあった。音楽と将棋が好きそうなのが良い。6五に桂馬を跳ねる歌が好き。

 

J. K. Rowling, Harry Potter and the Chamber of Secrets

というわけで、二作目は原書で読んでみた。15日に読了。3倍くらい時間がかかるかなぁ(そして日本語で読むのと違って眠くなる…)。

ふだんの時事・実務方面の翻訳では目にすることの少ない、口ごもる、もごもご言う、憤慨する、いきり立つ、みたいな表現がたくさん出てくるのに戸惑うけど、まぁ小説、それも児童文学なら当然か。慣れてしまえば問題ない。

基本的に、事件が解決されたあとでDumbledore先生が大事なことを言う、というのがお約束なのだな。一作目の、 “Always use the proper name for things. Fear of a name increases fear of the thing itself. ” とか、”It takes a great deal of bravery to stand up to our enemies, but just as much to stand up to our friends.” 、この二作目なら、 “It is our choices that show what we truly are, far more than our abilities.” とか。

三作目も原書をkindleで購入。何作目まで読むのだろうか……。

 

 

井上寿一『戦争調査会 幻の政府文書を読み解く』(講談社現代新書、kindle版)

公文書管理に関する政府委員を二つ兼任しているという著者が、あとがきでも昨今の事件について苦々しく触れているのも印象的だが、それはそれとして……。

「第二次世界大戦でもし枢軸国側が勝利していた」という大きなifをもとに書かれたのはフィリップ・K・ディック『高い城の男』だが、この本を読みつつ、ふと「もし真珠湾攻撃が行われず、日米開戦が回避されていたら」という想像をめぐらせずにはいられなかった(この本では、「戦争調査会」の資料などに基づいて、どの時点までその分岐点があったのか、ということが時系列的に語られている)。

小津安二郎の『秋刀魚の味』の、「けど、(あの戦争に)負けてよかったじゃないか」「そうですかね。うん、そうかもしれねぇな。馬鹿な野郎が威張らなくなっただけでもね」というやり取りを思い出す。それは確かにそうかもしれない。しかし戦争そのものが起きていなかったら、その後もしばらくは「馬鹿な野郎」が威張っていたのだろうな。とはいえ「戦争が起きてよかったじゃないか」とは言えないわけで……。

 

J・K・ローリング『ハリー・ポッターと賢者の石』(松岡佑子訳、Pottermore from J.K. Rowling)

友人の古書店主が勧めていたのがちょっと意表を突かれる感じだったので、ひとまず1作めを読んでみました(家人もこのシリーズはほとんど読んでいるみたいだし、何しろkindleだとこの1作めはは無料なのです←む、また罠か)。

なかなか面白かったです。ヒットするのもわかる。映画も観たくなりました。さて、続きをどうするかな~。

でも、(比較するものではないかもしれないけど)全作読み終わっても、たぶん自分は『指輪物語』の方が圧倒的に好きなんだろうなぁ、という予感はある……。

しかし、「賢者の石」って、「Philosopher’s Stone」なのか……。philosopherって賢者なのかなぁ……とか思ってしまう(笑)