月別アーカイブ: 2015年7月
Amazon.co.jp: 中国環境汚染の政治経済学: 知足 章宏: 本
民衆の敵 (岩波文庫 赤 750-2): イプセン, 竹山 道雄
Amazon.co.jp: 民衆の敵 (岩波文庫 赤 750-2): イプセン, 竹山 道雄: 本.
町の経済を支える某産業の施設が、実は健康に有害な影響を与えることに気づいた医師がそれを発表しようとしたところ、「経済優先」の保守的な町民の反発を買って「民衆の敵」に仕立て上げられてしまう、という、何やら今の日本のどこででもありそうな話。1882年。
「多数が正義なのではない、正義は少数にこそあるのだ」というところまではともかく、「愚昧な大衆こそが諸悪の根源」とまで言い切るのはどうかと思うぞ、ストックマン先生。とはいえ、一読に値する本。
ちなみに、図書館で借りたのだけど、旧仮名遣いでした。子どもの頃からそんな本ばかり読んでいるから、けっこう旧仮名遣い慣れているんだよね。久しぶりだったけど、全然抵抗なかった(笑) 古文漢文が読めるわけではないけど、いわんや崩し字が読めるわけではないけど、旧仮名遣いは大丈夫です。
占領史追跡: ニューズウィーク東京支局長パケナム記者の諜報日記 (新潮文庫): 青木 冨貴子
Amazon.co.jp: 占領史追跡: ニューズウィーク東京支局長パケナム記者の諜報日記 (新潮文庫): 青木 冨貴子: 本.
Facebookでつながっている、どなたかがお勧めしていたので気になって読んでみました。面白かったです。時期的には、連合軍進駐から講和条約、岸内閣成立くらいまで。サブタイトルにあるように、日本生まれ・イギリス国籍の米誌支局長の動きを軸に話は進み、そこで浮かび上がるテーマが「皇室の対米工作」といったところかなぁ。
こういう歴史に関する書物を読んでいると、本来のテーマとあまり関係ないところにビックリしたりするのが常で、たとえばマッカーサー司令官と昭和天皇が並んで写っている写真が有名だけど、マッカーサーの方が20歳も年上だったのかぁ、とか’(マッカーサーは大正天皇と1歳違い)。そして、考えてみたら当たり前なのだけど、終戦当時の昭和天皇って今の私より若かったんだなぁ、とか(当時44歳)。
クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン (講談社現代新書) eBook: 鴻上尚史
Amazon.co.jp: クール・ジャパン!? 外国人が見たニッポン (講談社現代新書) eBook: 鴻上尚史: Kindleストア.
そういえばこの本の記録を忘れていた。
kindleで安くなっているのを知って、軽い気分で買ってみた。「クール・ジャパン」に「!」と「?」が付いているタイトルそのまま、という感じで、「日本すげぇ!」という話もあれば「日本って?」という話もある構成。きちんとした批判精神のある人なので、ヘイトの裏返しでしかないような「日本大好き」本ではもちろんない。
しかし何より笑ったのは、「外国人が見つけ た日本のクール・ベスト20」の第13位に入っている「大阪人の気質」だなぁ。この一節だけでも読むに値する(家人にこの部分だけ読ませたら大受けしていた)。
憲法第九条 (岩波新書 黄版 196): 小林 直樹
Amazon.co.jp: 憲法第九条 (岩波新書 黄版 196): 小林 直樹: 本.
初版が刊行されたのは1982年のようなので、30年前。米ソ冷戦、核戦争の脅威を前提に書いているだけに、今読むとさすがに違和感を抱く部分も多々ある(もちろん、核戦争の脅威がなくなったわけではないけど)。
いま、いわゆる「安保法制」や集団的自衛権に反対している人も、その多くは個別的自衛権の行使&自衛隊の存在については、まぁ認めるという立場なのではないかと思う(実のところ、私もその一人だ)。しかしそういう現実主義がある種の落とし穴に続いているのも確かなのだし、この本を読むと、自分がいかに「理想」から遠く離れてしまったかを痛感する。
この本の感想を一つだけ具体的に書いておくと、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」(日本国憲法前文)とか、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」(同第9条)とかって、性善説に基づく甘っちょろいものだと批判されることが多いような気がするのだけど、実はその正反対なのであって、かなり強い性悪説に立つからこそ、こういう結論なのだなぁということ。