数学」タグアーカイブ

トム・チヴァース、デイヴィッド・チヴァース『ニュースの数字をどう読むか--統計にだまされないための22章』(北澤京子・訳、ちくま新書)

これまた、田畑暁生氏の紹介で知った本。

統計については、一度しっかり勉強したいと思いつつ、果たせていない。この本は体系的な統計入門というわけではないが、報道で出てくる数字が誤解を生み出してしまう例がふんだんに紹介されていて面白い。正確なデータと出典が示されている(つまり虚偽ではない)からといって、報じられている内容に信憑性があるわけではない。

とはいえ、頭では分かっていても、なかなか徹底できないものだよなぁ…。本書で紹介されている例のうち、サンプルの規模や偏り、チェリーピッキングが招く誤解や、統計的に有意であるからといって意味があるとは限らない、といったあたりについては自力でも思い至りそうだが、交絡因子や合流点についてはなかなか難しい。

ちなみにこの本で紹介されている中でいちばん興味深かったのは、「新型コロナの初期の段階で、感染者・重症者に占める喫煙者の比率が低かった」という事例。もちろん、喫煙習慣が新型コロナの予防・重症化防止に役立つわけはなく、むしろその正反対なのだが、どうしてこのような結果(それ自体は嘘ではない)が出てしまったのか。

翻訳には特に問題を感じなかった。しかし、英国流の諧謔というのか、各所に冗談がちりばめられていて、そのおかしみを伝えるのはなかなか難しそう。感じ取るのは読者次第か。

 

佐々木淳『いちばんやさしいベイズ統計入門 「結果」から「原因」を探し出す』(SBクリエイティブ)

このご時勢ゆえ、「事前確率」などという言葉を折々目にするようになったので、図書館の新着書棚にあったこの本が目に留まり、読んでみた。

ベイズ統計については、以前POPFileというスパムメールフィルタを使っていた関係で名前だけは馴染みがあったのだけど、具体的にどういうものなのかは知らず。

本書は大変分かりやすく説明してあると思う。といっても、本書の肝である第3章以降も通読するだけで、自分で手を動かして確率を求めたり式の変形をしたり、という手順は踏んでいないので、表面をサッと撫でただけの理解。家人には「まぁそこまでやらなくてもいいんじゃないの」とは言われたのだけど、いずれ時間があるときにちゃんと「お勉強」してみたい。

「ベイズの定理」そのものが生まれたのは18世紀とけっこう歴史があるけど、本書から受けた印象では、天才的・飛躍的な発見というわけではなく、何となく式を変形していたら、「あれ、これってこういう意味に取れるんじゃない?」という新たな解釈が生まれ、それが実は非常に有用だった、という話であるように見える…のだけど、合っているだろうか。

2021年1月の刊行ゆえ、「このご時勢」についても「Cウイルスに関するP検査」という例題で扱われている。