月別アーカイブ: 2016年8月

街場の五輪論 (朝日文庫) : 内田樹, 小田嶋隆, 平川克美

「文庫になったら買おう」と思っていたのだけど、先日駅前の本屋を覗いたら文庫が出ていたので、リオも終わったことだし、つい購入(しかしこれもkindleあったのか)。

「日本にはいまこの夢の力が必要だ」という五輪招致のときのコピーに関連して、国家は国民がみな「一つの夢」を見ることを願う、皆がそれぞれバラバラの夢を見ることは国家にとっては迷惑なのである、という指摘は的確だと思った。なんか「戦後復帰もまもない頃はみんなおんなじ夢を見た。夢はいろいろある方がいい。夢の数だけ(略」という歌詞を思い出すね。

「アスリート、それもマイナー競技の選手にとっては、オリンピックが来るのと来ないのでは大違い」と、彼らがオリンピック招致を待望し開催に歓喜することに対して共感と理解を示しているところは、さすがに押さえるところを押さえているという印象。

それにしても、どうするのかねぇ、東京オリンピック。まぁ、やることはやるんだろうけどさ。

 

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こぐこぐ自転車 (平凡社ライブラリー722) 電子書籍: 伊藤 礼

この著者の農業関連(?)本が気になって検索していたのだけど、以前図書館で借りて読んだ本書がkindleになっていたので、つい。

さらに、図書館でこれの続編(?)の「ぎこぎこ自転車」も借りてしまった。この続編の方のエピソードなのだけど、60kmの予定で綿密なサイクリング計画を立てたのに、お昼にうなぎ屋でお酒を飲んでしまって20kmで中止、みたいな、全編そんな感じで楽しい。

 

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やんばるからの伝言 : 伊佐真次, 森住 卓

これも広い意味では……いやいや広い意味だろうが狭い意味だろうが、間違いなく「たたかい」の書ではあるのだけど、それ以上に、「あ~高江行ってみたい」と思わせる雰囲気だった。観光? いやいや。でも、エコツーリズムとか、観光の行先になりうるポテンシャルを持った土地でもあるんだよな。それなのに……と思う。

やんばるからの伝言 : 伊佐真次, 森住 卓 : 本 : アマゾン.

琉球独立論 : 松島泰勝

「琉球独立」がテーマになってはいるが、その底層には、民族とは何か、国家とは何か、主権とは何か、という問いが流れているように思う。

台湾、スコットランド、太平洋島嶼諸国、アフリカ諸国(これは独立後に困難に直面している例として)など、国際的なさまざまな事例に触れているのも興味深い。

しかしまぁ、出自としては琉球民族ではない自分にとってこの本が問いかけてくることは、「で、日本は独立するの? しないの?」ということなのである。

 

 

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帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ) | デイヴィッド・フィンケル, 古屋 美登里

たとえ本格的な戦闘が終結して、軍が撤退したとしても、兵士たちが帰国した、その郷里において戦争は延々と続いていく。

これはアメリカ国内の話だからこうやって立派な本になるけれど、実際に戦場になった国(アフガニスタンやイラク)の内情がここまで報じられることがないだろうとも思う。

それにしても、「リスクが高い」と判断される帰還兵を、たとえば酒や麻薬から遠ざけようとする試みはあるみたいなんだけど、「銃」には簡単にアクセスできてしまうのだなぁ、というところに、強い違和感。

そして、これはまぁ直接的にどうこうという話ではないのだけど、この本には帰還兵、その家族や知人、上官などいろいろな人が登場するのだけど、彼ら・彼女らが「本を読む」場面というのは一回も出てこない。唯一あるのは、聖書だけ。いろいろ考えさせられる。

 

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ) | デイヴィッド・フィンケル, 古屋 美登里 | 本 | Amazon.co.jp.