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小野寺拓也、田野大輔『検証 ナチスは「良いこと」もしたのか?』(岩波ブックレット)

良書。

巻末のブックガイドの最初に出てくる石田勇治『ヒトラーとナチ・ドイツ』(講談社現代新書)などをすでに読んでいるので、私としては「え、そうだったのか!?」という新しい発見はそれほど多くないのだけど、「ナチスは良いこともした」と主張する人たちが挙げる「良いこと」を、よく整理された論点で丁寧に検証している。その意味で、今後、一つのリファレンスとして有益な存在になる本(というか冊子)だと思う。

「おわりに」の部分で、「ナチスは良いこともした」と主張したがる人たちの動機や心理について考察しているのだけど、もちろん批判的な考察ではあるのだが、どことなく、その視線に温かみがあるところも、この本の優れたところだと思う。Twitterで眺めていると、この本を読みもしないで共著者である田野氏に噛みついている人がいるのだけど、そういう人への田野氏の応対も、けっこう穏やかで温かい。

宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中公新書kindle版)

前から気になっていた本だが、今回手に取ったキッカケは何だったかな…。

ふだん、今日のこの社会における自分のスタンスは「リベラル左派」なのだろうと思っているのだけど、そうなると、いわゆる「保守主義」の人とは程度の差こそあれ対立することになると予想される。「敵を知り」は大切だから、保守主義とは何かを知っておく必要が出てくる。

ところが…。

この本は、保守主義の源流を18世紀のイギリスの政治家・思想家であるエドマンド・バークに求め、ほぼ時代順に、「フランス革命との戦い」「社会主義との戦い」「『大きな政府』との戦い」という保守主義の変遷を追い、視点を転じて「日本の保守主義」という側面から論じる、という構成なのだけど、読んでいると、少なくともバーク的な意味では「なんだ、オレ、保守じゃん」ということになる(笑)

結局、今の日本社会において「保守」を名乗る資格があるとすれば、それはいわゆる護憲派であって、そういえば立憲民主党を立ち上げたときの枝野文男は「私は保守です」と宣言していたなぁ、と思い出すのである。