坂井豊貴『多数決を疑う』(岩波新書)

今般の参議院議員選挙の結果について、個人的には大きな不満や落胆があるわけではないのだけど、それにしても、特に小選挙区制(参院選であれば1人区)ではもう少し優れた選挙方法があるのではないか、とは常々思っている。

というわけで、義父が勧めていたこの本を読む(と思ったのだけど、彼のブログでは本書に言及している箇所が見つからない。しかし書棚にあったことは確かだ)。

実に面白い。

単純多数決に代わるボルダ・ルールや中位投票者定理など、技術的な集計ルールの考え方も面白いのだけど、それ以上に、ルソー『社会契約論』を軸とした、民主的な意志決定そのものについて考察する章が重要であるように思う。本書を読めば、いくつかの条件が満たされれば、多数決で得られる結論が正しい確率は限りなく100%に近づくことは理解できるのだが、現実の(そして特に今日の日本の)国会においては、その条件がいずれも満たされておらず、当面、満たされる可能性も低いことが痛感される。多数決に従うことが民主主義なのではない。それ以前にまず、多数決が民主主義の理念を満たさなければ話にならない。

図書館で借りたが、これは買うべきかもしれない。

これを読むと、必然的に『社会契約論』を再読しないといかんなぁという気になってくる(読んだのはいつだろう。高校? 大学?)

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