月別アーカイブ: 2023年11月

橋本洋介『日本語の謎を解く』(新潮選書)

先に読んだ『もっともわかりやすいラグビー戦術ガイド』から、この本へと流れるというのが、私の乱れに乱れた読書傾向を象徴するところ(笑)

で、本来は「蹴る」の活用は…みたいな疑問から日本語文法が気になり、何となく面白そうだった本書を手に取る。「ら抜き表現」はよく話題になるテーマなので扱われているだろうし、と。

著者が教える高校の生徒から日本語をめぐる疑問を集めて、それに答えるという構成。したがって、体系的に日本語文法を把握するという話にはならないのはやむをえないところ。

とはいえ、個々のトピックはほぼすべてが面白い。特に印象に残ったのは、日本語では本来色を表す言葉は「白、黒、赤、青」しかなかった、という話かな。

「ら抜き表現」も含めて、言葉の変化/進化について概ね肯定的に論じているのが好印象。それと、やはり(著者の言語研究の出発点でもあるらしい)中国語というのは面白そうだなぁ。

平尾剛『スポーツ3.0』(ミシマ社)

「根性(レジリエンス)と科学(サイエンス)の融合が新時代を開く」という帯文がとても刺激的(まぁそれが無くてもこの著者の本は買うと思うのだが)。

ウェブメディアでの連載をまとめた書籍のようなので、ややまとまりというか流れに欠ける印象はある。東京オリンピックをめぐる考察は(趣旨そのものにはほぼ完全に同意するものの)、ちょっと浮いているように思う(パラリンピックに関する考察は非常によかったが)。

とはいえ、著者の考察じたいはとにかくとても面白く考えさせられるので、通読ではないにせよ再読必至の項がいくつもある。

「根性」については、フルマラソンを走っていた頃の思いをベースに、私もいろいろ考えるところはあるのだが、それは本書の感想には収まらないので、また改めて。

井上正幸『もっともわかりやすいラグビーの戦術入門ガイド』(カンゼン)

ワールドカップ期間中に読了。

同じ著者の前々著(かな?)『これまでになかった ラグビー戦術の教科書』は購入済みで、ちょっとまとまりに欠ける印象を受けたので、新著が出たとのことで手を出してみた。

う~ん、前々著よりは分かりやすくなっているけど、それでも今ひとつ。かなりラグビーを観ている人でないと、いきなり知らない概念が出てきたりして戸惑うのではないか。言葉遣いで気になる点(※)や誤変換が残っている(脅威とあるべきところが驚異になっていたり)ことも含めて、校正が甘いというか、編集者はいったい何をやっているのだ、と…。

で、やはりこういう内容は動画で観る方が優るような気がする。著者が林大成(セブンズ日本代表)と一緒にやっているYouTubeチャンネル「らぐびーくえすと」が優れている。

※ 言葉遣いというか文法なのだが、キックを「蹴る」の可能形が「蹴られる」になっているのがどうにも気になった。「蹴られる」は受け身である(尊敬や自発はあまりないだろう)。いわゆる「ら抜き表現」はダメ、という意識があるのかもしれないが、「蹴る」は「蹴れる」でよいはず。しかし理屈で説明しろと言われるとあまり自信がないので、現代日本語の文法も少し勉強してみたいなぁという気になったのが、思わぬ収穫。