月別アーカイブ: 2022年9月

J.D.サリンジャー『大工よ、屋根の梁を高く上げよ/シーモア-序章』(野崎孝、井上謙治・訳、新潮文庫)

「竹内・朴本」の影響はまだ続いていて、当然ながら、これも読む。

一連の作品を読み終わったら、「竹内・朴本」をもう一度読み直そうと思っている。

ところで本書、『大工よ』の方は、(特にグラース家の面々にだいぶ馴染みが出てきた読者としては)それほど抵抗もなく読みやすい翻訳なのだが、『序章』の方は…。もう少し何とかしようがあったのではないか、と思う。その一方で、「いや、これ、たぶん原文も相当のものだぞ…」という訳者の苦労が察せられる部分もけっこうあるような印象。そうなると、「で、実際のところどうなのよ」と原書を買ってしまいたくなるのが職業病というべきか。まぁ仕事以外で英語はあまり読みたくないのだけどね、正直なところ。

いやその前に、次は『このサンドイッチ、マヨネーズ忘れてる/ハプワース16』だな…。

宇野重規『保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで』(中公新書kindle版)

前から気になっていた本だが、今回手に取ったキッカケは何だったかな…。

ふだん、今日のこの社会における自分のスタンスは「リベラル左派」なのだろうと思っているのだけど、そうなると、いわゆる「保守主義」の人とは程度の差こそあれ対立することになると予想される。「敵を知り」は大切だから、保守主義とは何かを知っておく必要が出てくる。

ところが…。

この本は、保守主義の源流を18世紀のイギリスの政治家・思想家であるエドマンド・バークに求め、ほぼ時代順に、「フランス革命との戦い」「社会主義との戦い」「『大きな政府』との戦い」という保守主義の変遷を追い、視点を転じて「日本の保守主義」という側面から論じる、という構成なのだけど、読んでいると、少なくともバーク的な意味では「なんだ、オレ、保守じゃん」ということになる(笑)

結局、今の日本社会において「保守」を名乗る資格があるとすれば、それはいわゆる護憲派であって、そういえば立憲民主党を立ち上げたときの枝野文男は「私は保守です」と宣言していたなぁ、と思い出すのである。