エリエザー・スターンバーグ『<わたし>は脳に操られているのか 意識がアルゴリズムで解けないわけ』(大田直子・訳、インターシフト))

従姉のパートナーがFacebookで紹介していて気になった本。というか、まぁ哲学科出身の私としては専門分野と言えなくもない。

神経脳科学の発展をベースに、それでは人間には「自由意志」はあるのか、人間に道徳的な主体性を問うことはできるのか、という問題に答えを出そうとする本。

面白い本ではあるが、著者は最終的に「自由意志」の存在を肯定する結論、というより展望を示すのだけど、それならばもう少し優れた説明のしかたがあるようにも思うし(などと書くと偉そうだが)、「そこは検証なしに言い切ってしまっていいの?」という疑問が生じる部分もある。

そして結局のところ、物理学にせよ脳科学にせよ、過去に哲学が提示してきた問題をいっそう精緻・厳密にすることには貢献しても、その答えを導くには至っていないのだなぁという諦めのような思いを抱く(まぁ構造的にしかたがないのだけど)。

 

 

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