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マーカス・デュ・ソートイ『シンメトリーの地図帳』(新潮文庫)

何かで話題になっていて、以前読んだ『素数の音楽』の著者ということもあって、借りてみた。

『素数の音楽』以上に難解…。たぶん私はこの本の話の1割も理解していない。

そもそも中学・高校の頃から数学はどちらかといえば苦手だったのだけど、特にダメなのが幾何系のセンスで、平面でも辛いのに、空間図形になると何が何やら。

だから本書の最初の方に出てくる、日常の感覚に近い、正多角形や正多面体のシンメトリー(対称性)についての話のあたりで、すでに拒否感がある。正三角形にはシンメトリーが7通りある(だったかな?)くらいまでは数えられるけど、多面体になるともうダメ。

一般向けの親しみやすいエピソードであるはずのアルハンブラ宮殿に散りばめられたシンメトリーの話にしてから、「この点を中心に回転させると…」などと書かれても、頭のなかで図柄を回転させるのは諦めて「そうなの?」と読み進める(笑)

二次元の図形は(1,0)みたいな2つの数字からなる座標の組み合わせで、三次元なら(1,1,0)で表現できるから、モノとしてイメージできない4次元以上の「図形」についても(1,1,1,0)……などと表記すれば考えることはできる。まぁそれはそれで分るとして、この本で出てくる次元と来たら、19万(端数忘れた…)次元である。そんなの、表記できないじゃん、そもそも(笑)

…というわけで、「そこに何が書いてあるのか」と問われると「よく分からない」と答えるしかない本なのだけど、それでも読み通してしまった。

著者の文才というのもあるかもしれないが、分からないものを淡々と読み進めるという能力が私にはけっこうあるような気がする。願わくば、分からないなりに読み通したものが、自覚できないまでも、自分の脳に何らかの変化をもたらしていて、今後別のものを読んだときに、ああ、アレはコレだったのか、と符合するようなことがあればいいのだけど…。