引き続きお勉強中。コーラン冒頭の章の7つのフレーズ「だけ」を時代背景やそれらの言葉を支えている意識的・無意識的なイメージにまで踏み込んで深く深く読む、という試み。これまた、昨今の事件を理解するには、直接的には全然といっていいほど役に立たないだろうけど、たいへん楽しい。岩波の連続セミナーを収録したものだけど、うん、なんだか大学の講義/ゼミみたいな雰囲気だ。
月別アーカイブ: 2015年2月
治安はほんとうに悪化しているのか: 久保 大
インストール (河出文庫): 綿矢 りさ
先に読んだ高橋源一郎『さよなら、ニッポン』で高く評価されていたので読んでみた(この文庫の解説も高橋源一郎)。う~ん、彼が絶賛するほどによいとは思わなかった。全然悪くはないんだけど、普通の、読みやすい小説という印象。彼は「小説は、書いてみないと分からない部分がある」(これに対する批判については『さよなら……』に詳しい)と言っているので、そういうことかもしれない。書く人にとっては、「やられた」という感じなのかも。
さよなら、ニッポン: 高橋 源一郎
基本的には文芸評論を通じて「ニッポンの小説とは何か」をひたすら考え続けていく本。544頁と大部だし、ここで取り上げられている作品はほとんど読んでいないこともあって読了に時間がかかったけど、これに先立つ『ニッポンの小説:100年の孤独』から引き続き、かなり刺激的な本だった。ひとまず、綿矢りさ『インストール』、川上弘美『真鶴』、岡田利規『わたしたちに許された特別な時間の終わり』は読んでみようかと思う。
で、そもそもこのシリーズに手を出したのは、第3部となる『「あの戦争」から「この戦争」へ:ニッポンの小説3』が出版されて、それを読みたいからなのだった。
なんとなく、クリスタル (河出文庫): 田中 康夫
意外に抵抗なく読めた。確かに、実験的な小説としてはすごいのかもしれない。切り取られた日常が、確かにいつかのどこかにある(あった)、という実感ではなく、今もそのへんの平行宇宙に漂っているような、そういう印象。
前半で、「……を大切にしたかった」というフレーズが執拗に続く部分がある。なぜ過去形で繰り返されるのだろう。そのへんを少し考えたくなる。
イスラーム国の衝撃 (文春新書) 電子書籍: 池内 恵
事態の進行にやや遅れつつ、淡々とこんなのも読んでみました。800円の価値はあります。情報量が豊富で、このあたりの状況に詳しくなれると思います。必読とまでは言わないけど、少なくとも今どき、読んで損はない。
……という風に書けば、私を知る人には、「あんまり誉めていないな」と分かっていただけるものと思います。
いやぁ、なんか、「詳しい」と「賢い」は全然違うことなんだなぁとしみじみと感じてしまいました。この本を読めば、読んでいない人よりは詳しくなれますけど、賢くはなれません。賢くなりたければ、先にご紹介した『イスラーム文化』の方を読むべきです。「賢さの定義って何だよ」って思う人がいるかもしれませんが、まぁ、両者を読み比べれば分かるんじゃないかと。