奥付を見ると、出版されたのは2013年4月。たぶん発売まもなく買ったのだと思う(その時点ですでに8刷)。最初の数ページを読んだだけで、何となく気分が乗らずに2年放置して、土曜日の夜にふと読み始め、日曜日、移動時間が長かったので一気に読了。
まぁ何というか、これ、ダメな人にはダメだろうなぁというのはよく分かります。このリンク↓を作るためにAmazonにアクセスしたら、表示されるのは一つ星の低評価ばかり。レビューの数では五つ星の方が多いんだけど、たぶん、一つ星の方が「そのとおりだ!」と思う人が多いからでしょうね(これ、何かの構図に似ていますが…まぁそこには踏み込まず)。
100万部とか売れる本ではないだろう、とは思います(もっと売れたのかな)。この作品を多少なりとも理解して肯定的に評価する人なんて、買った人のうち100人に1人もいないのではないか。しかしもちろん、作者自身は「それでいい」と思って書いているのでしょう。確か、かつて経営していたバーについてだったと思いますが、「訪れる人の10人に1人でも気に入ってくれればいい、という気持ちでやっていた」みたいなことを言っていたし(出典忘れた)。
さて、そういう私の感想はどうなのかというと、まず、けっこう普遍的・古典的なテーマ(人によってはそれを陳腐と呼ぶかもしれない)の小説だな、という気がします。あと、構成としては『ノルウェイの森』と同じなのかな、と。むろん、『1Q84』『ねじまき鳥クロニクル』『ダンス、ダンス、ダンス』『世界の終わりとハードボイルドワンダーランド』あたりと通底するモチーフもけっこうあって、その意味で、やはりこの人は「同じこと」について執拗に書いているんだなぁという印象。だから、というわけではないのだけど、この作品にはまったく出てこないのだけど、ついビーチボーイズの曲が頭に浮かんでしまう(Surf’s Upあたりの)。
うん、やはり上に書いたように、これ、ダメな人にはとことんダメな小説だろうなぁ(笑)
それにしても、高校時代の友人と少しずつご縁が復活している時期に、たまたまこれを読むことになったというのが不思議です。もちろん高校時代の私には、こんなに幸福な(したがって悲劇的な)人間関係はなかったのだけど。
Amazon.co.jp: 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年: 村上 春樹: 本.