8月に早川がkindleの割引きセールをやっていたときに何冊か買ったうちの1冊。大変興味深く「読ませる」のに、ずいぶん時間がかかったのは、それだけ内容が濃いから。
一貫して感じるのは人間の脳、そして音楽がいかに興味深いものかという点なのだけど、それ以外にも、たとえば「…ということは、こういう習慣をつければオレの唄三線ももっと上手くなるんじゃないの?」とか、「車椅子のおばあちゃんがカチャーシーだけは踊れるってのはそういうことだったのか」とか、自分にとって身近なジャンルの音楽に関してもいろいろ発見がある(もちろん勘違い、拡大解釈である可能性はある)。あと、「ラヴェルは『ボレロ』を書いたとき、認知症にかかり始めていたのではないかと思える」みたいな話が興味を惹かれる。
「そしてもちろん、音楽の連想について最も優れた文学的分析を行ったのはプルーストだ」という指摘が出てくるのも偶然のタイミングとはいえ嬉しい。
まぁ自分のように言語能力にリソースを偏らせている人間は音楽で才能を発揮するのは厳しいんだろうな、という諦めも感じるけど(笑)
音楽に多少なりとも興味のある人にはお勧めです。紹介されているさまざまな音楽(クラシックが多い)を聴いてみたくなってしまうところが難点といえば難点。Spotifyの無料アカウントを作ってしまった…。
kindle版の問題は、メニューの階層が「第1部」「第2部」……という単位でしかないこと。冒頭の目次からは各章(全29章)にリンクが貼られているのだけど。