2016年に読んだ本」タグアーカイブ

失われた時を求めて(3)――花咲く乙女たちのかげにI (岩波文庫) | プルースト, 吉川 一義

あいかわらず特に面白いとも感じないまま読み進んでいる。

が、電車の中で読んでいると、降りるべき駅を乗り過ごしそうになる。

……面白いのか、やっぱり。

梱包材のプチプチを潰していると、別に面白くもないのだが止められなくなるのと似ているだろうか。

この作品をプチプチに喩えたのは私が世界初ではなかろうか(←偉くない)。

引き続き、第4巻へ。700ページもあるんだよなぁ……。

 

 

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パリ同時テロ事件を考える: 白水社編集部: 本

拾い読みのつもりが、結局、すべての執筆者の論文を読んでしまった。

う~ん、座談会の部分も含めて、フランス文化・思想的な部分に軸足を置いているらしき人の言っていることは、どうもしっくりこないというか、リアリティを感じなかった。中東に軸足を置いている人の方にやはり切実感がある(池内恵でさえ)。座談会でも、酒井啓子さんがそのへんに苛立っている感じが伝わってくるような印象。ジャーナリストの人が書いているものもよかった(朝日の論説委員と共同通信のカイロ支局長)。

そういえば、この論集のなかで二人の執筆者が、アントワーヌ・レリスのメッセージを肯定的に取り上げている。日本のメディアでも紹介された、「君たちに私の憎しみはあげない」という文章。

でもあれは、もちろん当人の責ではないにせよ、結果的にテロを煽るひどい文章だと私は思っている。

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ぼくのニセモノをつくるには | ヨシタケ シンスケ | 本

哲学的……と称するにはちょっとシンプルすぎる話ではあるけど、面白い。

ぜんぜん結末が教育的でないところが現代風。

しかし、せっかくロボットを購入するなら、ニセモノを作らずとも、お手伝いとか部屋の片付けとかを代わりにやってもらうだけでよかったんじゃないか(笑) やっぱり「ぼく」がやったという実績にならないとダメなのか。って、マジメに考えるところではないのか。

 

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日本の路地を旅する (文春文庫): 上原 善広

差別の問題が付きまとうだけに、こういう表現をするのがためらわれるのだけど「面白い」。日本の歴史というか、現在も含めた社会の成り立ちが複層的に見えてくる感じ。「日本」を振りかざす人が目立つようになってきている昨今、「あなたの『日本』に、これは含まれていますか?」という問いを投げかけたくなる。

で、まぁ当然と言われれば当然の展開なのだけど、このテーマを探っていくと、エイサーに絡んでくるのだなぁ。

 

 

 

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路地の教室―― 部落差別を考える (ちくまプリマー新書): 上原 善広

何がキッカケでこの本を知ったのだったかなぁ。どこかの書評サイトとかかも。

ちくまプリマ-新書なので、恐らく中学生~高校生くらいを対象として、ごく一般向けに書かれた部落差別についての本。著者はこういう語り口をあまり得意としていないのか、ややまだるっこしい感じはあるし、「それはどうなの」と思う部分もないではないけど、全般的に内容は良かった。昨今のネットでの罵詈雑言をめぐって、「多様性への嫌悪」という捉え方は的確だと思う。というか、何でもそれで説明できてしまう気さえする。

引き続き同じ著者の『日本の路地を旅する』を読んでいて、これはさらに面白い。

 

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バイクとユニコーン (はじめて出逢う世界のおはなし) | ジョシュ, 見田 悠子

図書館の新着図書の棚にあったのがふと目に止まった。キューバの作家の短編集。「はじめて出逢う世界のおはなし」というシリーズ名になっているので、若い人向けの叢書なのかもしれないし、確かに少年・青年が主人公の作品も入っているのだけど、別に大人が読んでも問題ない感じ。

時代設定は完全に現代なのだけど、それだけにいっそう社会の違いが際立って面白く読める。

 

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過去は死なない――メディア・記憶・歴史 (岩波現代文庫): テッサ・モーリス‐スズキ, 田代 泰子

ポストモダンな相対主義がナショナリスティックな歴史解釈・構成に流れていく状況への批判として、「真実としての歴史」と「物語としての歴史」の対立を「歴史への真摯さ」で止揚する、というのが著者の姿勢かな。

ボリュームとして中心は、各メディア(小説、写真、映画、ネット)の歴史表現とその受容。こういう各論も面白い。

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九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2) | ハリイ・ケメルマン, 永井 淳, 深町 眞理子

京都のバーの店主が紹介していたので気になって図書館で借りてみた。少しムラはあるがどれも面白い。そして序文がいい。長編のラビシリーズもちょっと読んでみたくなった。

しかしね、Amazonの商品説明にも、本の裏表紙にも、あるいは解説にさえそのようなことが書いてあるけど、

> 教授は「九マイルは遠すぎる、まして雨の中ともあれば」と言う言葉を耳にし、この言葉を頼りに前日起きた殺人事件の真相を暴き出す

というのは、紹介として実に不適切だと思う。ネタバレのように見えて、実はこれ、内容とかなり違うから。これでは、作品の最後のオチが全然効かない。この紹介文よりはるかに意外でずっと面白い話であることは保証する。

九マイルは遠すぎる (ハヤカワ・ミステリ文庫 19-2) | ハリイ・ケメルマン, 永井 淳, 深町 眞理子 | 本 | Amazon.co.jp.

失われた時を求めて(2)――スワン家のほうへII (岩波文庫) | プルースト, 吉川 一義

フランス語教室で同じクラスの女性が大学でプルーストをやったというのだけど、その人に言わせると、「2巻まで来れば後は行ける」らしい。そうかもしれない。ようやくこの調子にも慣れてきた気がする。

確かに歴史に残る作品である、という気はしてきた。

 

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リベラルのことは嫌いでも、リベラリズムは嫌いにならないでください–井上達夫の法哲学入門: 井上 達夫

個々のイシューについては賛同できない部分もあったけど、だいたいにおいて面白かった。サンデルの『これからの正義……』なんかに比べるとはるかに良い。同じ著者の『世界正義論』と『現代の貧困』にも手を出してみようかな。

 

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