拾い読みのつもりが、結局、すべての執筆者の論文を読んでしまった。
う~ん、座談会の部分も含めて、フランス文化・思想的な部分に軸足を置いているらしき人の言っていることは、どうもしっくりこないというか、リアリティを感じなかった。中東に軸足を置いている人の方にやはり切実感がある(池内恵でさえ)。座談会でも、酒井啓子さんがそのへんに苛立っている感じが伝わってくるような印象。ジャーナリストの人が書いているものもよかった(朝日の論説委員と共同通信のカイロ支局長)。
そういえば、この論集のなかで二人の執筆者が、アントワーヌ・レリスのメッセージを肯定的に取り上げている。日本のメディアでも紹介された、「君たちに私の憎しみはあげない」という文章。
でもあれは、もちろん当人の責ではないにせよ、結果的にテロを煽るひどい文章だと私は思っている。