憲法第九条 (岩波新書 黄版 196): 小林 直樹

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初版が刊行されたのは1982年のようなので、30年前。米ソ冷戦、核戦争の脅威を前提に書いているだけに、今読むとさすがに違和感を抱く部分も多々ある(もちろん、核戦争の脅威がなくなったわけではないけど)。

いま、いわゆる「安保法制」や集団的自衛権に反対している人も、その多くは個別的自衛権の行使&自衛隊の存在については、まぁ認めるという立場なのではないかと思う(実のところ、私もその一人だ)。しかしそういう現実主義がある種の落とし穴に続いているのも確かなのだし、この本を読むと、自分がいかに「理想」から遠く離れてしまったかを痛感する。

この本の感想を一つだけ具体的に書いておくと、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しよう」(日本国憲法前文)とか、「正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し」(同第9条)とかって、性善説に基づく甘っちょろいものだと批判されることが多いような気がするのだけど、実はその正反対なのであって、かなり強い性悪説に立つからこそ、こういう結論なのだなぁということ。

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