トーマス・クーン『科学革命の構造』(みすず書房)

大学の教養課程の頃、必読のような扱いを受けていた本(といっても刊行が1971年だから、当時を基準に考えればそれほど前の本ではないのだが)。

もちろん、フマジメな学生だった私は読まなかった(笑)

少し前に読んだ『プラグマティズム入門』あたりでも紹介されていたので懐かしく思って(だから読んでいないんだってば)、今さらのように読んでみた。

現代の自然科学を相対化するという意味で、やはり読む価値のある本だと思う。「科学的に」云々という主張を目にしたときに、それを冷静にカッコに入れられるかどうかは大切なことで、もちろん少し哲学をかじればいいことなのだけど、ひとまず、自然科学内部から、こういう把握をしたということは、とても大きな業績だと思う。

それはさておき……「当時の学生はよくこんなのを我慢して読んでいたものだなぁ」というのが率直な感想(笑) 何しろ翻訳がひどい。訳者あとがきで少し言い訳めいたことも書いてあるけど、まぁ何というか、科学の専門家であって翻訳の(というか日本語の)専門家ではないのだよなぁ、と思う。

内容と直接関係がなくなってしまうのだけど、「そうか、自分は微力なりとも日本の翻訳の質を上げるための仕事をしてきたのだなぁ」という感慨を抱いてしまった。

翻訳に腹が立つときの常でkindleで原書も買ってしまったのだけど、まぁ確かに原書も読みやすい英文とは言いがたいのだけど……。

※ 結局、翻訳の方で読み通しました。

 

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