山代巴:編「この世界の片隅で」(岩波新書)

映画『この世界の片隅に』を観て、ちょいと調べようと思い、キーワードを間違えて検索したら、この本がヒットした。1字違いのタイトルで、やはりヒロシマについての本であるということに興味を惹かれて、読む。マンガのタイトルがこの本を意識しているのかどうかは、まだ調べていない。

在日朝鮮・韓国人、被差別部落、精神障害者(胎内被爆の後遺症としての)、孤児、沖縄といった周縁化・疎外・差別される存在を、被爆という共時的な体験で貫いて語る、という構成。復興が進む戦後の広島で、上空から見るとそこだけ暗い一角がある、という一節が辛い。

そのように、当然ながら重くて暗い内容ではあるけど、それでもやはり、知らなかったことを知る喜びというのは、こういう読書にでも、ある。

何というか、1960年代にはまだ存在した真面目さみたいなのをつくづく感じる。

『に』を観て感動した人に、併せてこの『で』も読んでもらいたい(別にそれによって『に』の価値が下がるわけではない)。しかしこちらはいま入手困難なんだよなぁ(私は図書館で借りた)。

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