チャイナ・リスク (シリーズ 日本の安全保障 第5巻): 川島 真

安っぽい反中嫌韓本のたぐいのようなタイトルだけど、岩波書店の論文集(笑) 「中国が攻めてきたらどうする」とか言う前にこれくらいは読んでおいてほしい、というのは要求が高すぎるかな?

一読して思うのは、当たり前のことなのだけど、どんな国にも、それが歩んできた歴史というものがあり、それぞれに内在的な論理がある、ということ。中国の場合、その論理はもちろん日本やアメリカのそれとは相容れない部分も大きいわけだけど、「こっちの論理が正しいのだから、そのようにやらせればいい」で済むという単純な話ではない(そもそも「こっちの論理が正しい」かどうかは確言できない)。この「単純な話ではない」というのが、ナイーブに反中意識を露出してしまう人たちに決定的に欠けている認識ではないかと思う。

要するに、この本はもちろん巷で見かけるような粗悪な反中本ではないのだけど、「中国というリスク」に多面的かつ本格的に取り組んだ本であって、「中国は、問題である」という結論には変わりはない。ただし、それは排除すれば済むtroubleやnuisanceではなくて、解かなければいけないproblemなのだ。そしてそれは非常に難問である、というのが読後の感想(それに比べれば北朝鮮ははるかにスケールの小さい容易な問題だと思えてくる)。

特にお勧めは第2章:党の安全保障と人間の安全保障、第3章:「革命の軍隊」の近代化、かな。

Amazon.co.jp: チャイナ・リスク (シリーズ 日本の安全保障 第5巻): 川島 真: 本.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください