片岡義男・鴻巣友季子『翻訳問答 英語と日本語行ったり来たり』(左右社)

翻訳家の鴻巣友季子、作家であり訳業もある片岡義男が、英米文学の名作の冒頭を題材として翻訳を試み、それをネタに対談する、という構成。

片岡義男は、いろいろ偉そうなことを言うわりには、訳文そのものはそれほど上手くない。鴻巣友季子は専門家だけあって敬服してしまうが。

なお、末尾に、「Lost and Found in Translationという英語タイトルは片岡義男が考えた」という注記があるが、それなら、そもそも「翻訳問答」というタイトルが何をもじったものかにも言及すればいいのに、と思う(って、それは私の勝手な連想かもしれないのだけど)。

翻訳小説を読むのは好きでも、自分で文芸翻訳をやろうと思ったことはほとんどない私だが、これを読むと、ちょっと自分でもやってみたくなる。まぁそういう仕事は来ないだろうし、仕事の傍ら試みるような暇はないのだけど。

たまたま、この本を読んでいる間に受けた原稿で、ヘミングウェイの一節(といっても登場人物の会話のごく一部)を訳す必要があり、いちおう既訳も参照したのだが、あまり納得できるものではなかったので、結局自分で訳して納品したら、そのまま掲載されたようだ。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください