片岡義男『スローなブギにしてくれ(kindle版)』(ボイジャー)

というわけで、片岡義男と鴻巣友季子の対談を読んだ関連で、片岡義男の作品を読んでみた。かつて、『彼のオートバイ、彼女の島』を読んだことがあるような気がするのだが、とりあえず、[代表作」とされている、これを。映画の主題歌である南佳孝の曲は馴染みがあるが、原作を読むのは初めて。

う~む、これでチャンドラーなどの作品について「表現は陳腐」とコメントするのは、ちょっとどうかと思う…。せめて、タイトルは本文中に出さないでほしかった。作品の多くは絶版になっているものの、このkindle版の版元でもあるボイジャーが運営する「片岡義男.com」で電子化が進められているという。ただ、この作家が再評価される可能性というと…なかなか厳しいのではないか。

かつて村上春樹『ノルウェイの森』がベストセラーになったとき、文芸評論家の誰かが(その後セクハラで問題になった人だったかもしれない)「朝日ジャーナル」で、「この二人の恋愛に感動した人は、島尾敏雄『死の棘』を読んで、通俗と文学の違いを知ってほしい」とコメントしていたのを思い出す。もっともこのとき私は、「それなら」とさっそく『死の棘』を読んで、「もちろんこれも凄い作品だけど、他方を通俗と腐す理由にはならないのでは?」と思ったものだが。

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