以前お世話になった編集者の方が勧めていたので読んでみた。
少し前に読んだジェンダー関係の書籍でも思ったことだが、これもやはり、ときどき知識や考え方をアップデートしていていかないといけないテーマ。
日本の常識は世界の非常識になっていたりするので。
現代社会のさまざまな問題に通底する宿痾が「資本主義」であることも、もはや新鮮味がないほど頻繁に指摘されているのだけど、本書はいちおう、新自由主義的な枠組みを否定しつつも、資本主義の枠内で地球温暖化・気候変動の問題を解決していくというのが基本的なスタンスになっているようで、「資本主義の克服」といった主張に忌避感を持つ人にも受け入れられやすいかもしれない。
ただしその理由は、楽観的な生温いものではなく、その正反対である。資本主義の克服といった長期的な視点で話を進めていっては、手遅れになるからだ。「ゆっくり勝つことは負けることである」という著者の指摘には、控えめに言って慄然とせざるをえない。
で、岸田首相がCOP26で「化石賞」を頂いたことに象徴されるように、まぁ現在の日本はこの問題においてもダメダメなわけで、産業も社会も世界に取り残されていくのだろうな、というのが残念なところ。まぁ何はともあれ、Fridays for Future TOKYOのTwitterアカウントをフォローしてみたりする(FacebookのFridays for Future Japanはすでにフォローしていた)。
著者自身も、希望的観測が難しいことを認めているのだが、本書末尾近くで紹介される、それでも微かな希望につながる動きの例がウェールズであるのは、あの国(本書では「国(カントリー)」と表現されている)に親しみを抱く身としては、少しばかり救われる思いがする。