そもそも数学に関する文章を書く機会はないのだけど、基礎編と銘打つだけあって、それ以外の文章にも通じる基本的な心構えという意味で役に立つかも。まぁ当たり前すぎる内容も多いけど、それでも「ほほう」と思う部分はあった(列挙の際の「、」と「・」の使い分けとか)。
あと、これまでの読書記録からも推察していただけると思うが、数学関係の啓蒙書的な本を読むのは嫌いではないので、読む側としても、なるほどこういう書き方だから自分はつまづいてしまうのか、みたいな視点が得られるかもしれない。
それはさておき、LaTeXについてたびたび言及されているのが、個人的には感慨深かった。この本じたいもLaTeXを使って書かれているのかな。
Windows95が普及する前、アウトラインフォントにはご縁のなかったMS-DOS時代。せっかくレーザープリンタを導入したのだし、何とかもっときれいな印字が得られないものかと、VZエディタ+LaTeXであれこれ苦労していたことを思い出す。日本語関連ではいろいろ面倒が多かったせいもあって、バージョンは忘れたけど一太郎にアウトラインフォントが採用されたことで、同僚に「一太郎の方が早い」と一蹴されて悲しく思ったものだ。もっとも、このLaTeX関連でオープンソース方面に触れたことが、その後につながったという気もする。
そういえば、確か中学生の頃、我が家で「文章読本」ブーム(?)が起きて、谷崎潤一郎、川端康成、三島由紀夫、丸谷才一あたりを片っ端から読んだ記憶もある。本書もその系譜に連なる(ただしもっと実用的な)1冊なのかもしれない。斎藤実奈子が『文章読本さん江』という本を書いているのが気になるな…。