母里啓子『インフルエンザ・ワクチンは打たないで』(双葉社)

いつかは私も「インフルエンザ・ワクチンを打つ必要なんてない」と信じるようになるかもしれない。だが、それはこの本の影響ではない。

いつかは私も「インフルエンザ・ワクチン接種が叫ばれるのはワクチンメーカーの策略だ」と信じるようになるかもしれない。だが、それはこの本の影響ではない。

いつかは私も「インフルエンザに罹ることが免疫をつける最善の方法」と信じるようになるかもしれない。だが、それはこの本の影響ではない。

この本は、ゴミだ!

…いや、まぁそうではないかとは思っていたのですが、いちおうこの手の本のサンプルとして読んでみようかなと。『ヤマザキパンはなぜカビないか』と似たようなものかな。

そもそも情報が古い(本書は2007年の刊行で、その時点よりさらに四半世紀前の情報に基づいて書かれている部分も多い)という点で読む必要はないのかもしれませんが、それ以前に、著者の根本的な問題は「論理的な思考ができない」という点だろうと思います。せっかく医学を学んで研究に勤しんでも、その部分を身につけていないと、こうなってしまうのかな、と。数ページ前の主張と矛盾することを書いてしまうならまだしも、最悪の例では隣り合う段落が矛盾していたりするんですよ…(本書p97)。

個別の医学的知見の正否については私のような素人には判断できない部分もあります。が、矛盾していたり、論理が飛躍しているのは分る。

本書にも「なるほど」と納得できる部分はいくつもあるんですが、この人が書くと、むしろそれさえも間違っているんじゃないかという気になるくらいです。

ちなみに何年かに1回は確実にインフルに罹っている私としては、今季こそ予防接種を受けようかと思っていたのですが、時機を逸して、結局受けていません。

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