斎藤慶典『フッサール 起源への哲学』(講談社選書メチエ)

平尾剛史さんがTwitterで絶賛していたので図書館で借りてみた。

うむ、面白かった。

わりと最近読んだ『時間とはなんだろう』『重力とは何か』といった物理学の本を読んでいて、隔靴掻痒というか、「どうしてそんなおおざっぱな思索で納得できるんだ」と思っていたことが、「自然科学の素朴性」というフッサールの言葉で表現されていて得心がいった感じ。

といっても、こういう哲学的な探求を突き詰めたからといって、そういう「素朴な」自然科学の妥当性がわずかなりとも減じるわけではないので、そのへんは両立可能なのだけど。

それにしても、「神」を最終解として持ち出すことが許されなくなった時代の思索というのは、実に厳しいというか、変な言い方になるけど「禁欲的」なのだなぁと改めて思った次第。本書を読んでいても、「ああ、そこで『神』と言ってしまえれば楽なのだろうなぁ」と思うことが頻繁にあった。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください