安田浩一の本だからどうせ面白いだろう、私が納得するような結論になるのだろう、と甘く見て(?)いたのだけど、予想を超えて凄い本だった。
沖縄の新聞は本当に「偏向」している、というのが本書の結論……と書いたら誤解を招くだろうか。
何しろ、当の「沖縄の新聞」の一つ、沖縄タイムスの記者は、著者の取材に対して、
「沖縄の新聞は偏向しているのかと問われれば、偏向してますと大声で答えたいです。」(本書108頁)
と答えている。
しかし、その「偏向」は、本書のタイトルがそうなっているように、カギカッコ付きの「偏向」なのだ。その文脈において、「偏向」の反対は「公正中立」ではない。
現在の沖縄2紙に対抗して創刊された保守系の新聞の話なども興味深い(その刊行に携わった中心人物がいま何をやっているのか、は非常に印象的)。