言わずとしれた世界文学の名作。
中学3年生の2月、家族は何やら楽しい用事のために外出したのだけど、高校入試間近ということで私1人だけ家に残され、腹立ちまぎれに勉強もせずに読み始め、あまりにも面白くて没頭してしまい、入試の結果は(以下略)
ということで、35年ぶりくらいに読んでみたのだけど、う~ん、そこまでの作品だろうか。
翻訳があまり上手くない、というか古くさいという点はある程度割り引くとしても(本屋でパラパラめくってみたが新潮文庫のほうが優れている)、どうも造りが雑というか、登場人物の性格設定や話の展開にあまり現実味が感じられず、ナイーブすぎるような気がする。昔の小説はそんなものだ、とも、いや現実の人間のあり方もそうだったのだ、という考え方もあるだろうけど、でも時代的にさほど変わらない、先日読んだ『高慢と偏見』は(新訳のおかげもあってか)けっこう現代の目から読んでもすんなり感情移入できたように思うのだが。
(もちろん現代のイシグロや、スタンダールより100年ほど新しく、そもそも異常なまでの緻密な内面描写が売りのプルーストは別としても)
とはいえ、読むにつれてペースは上がり、続いて下巻へ。ま、面白い話ではあるのだ(これから読む人にはこの岩波文庫版はお勧めしないが)。