新井紀子『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』(Kindle版、東洋経済新報社)

これは率直に言って期待外れ。

AIに関する論考で、知性(あるいは知能)=人間の知性ということを無反省に前提してしまっているものは、たいていつまらないように思う。

つまり、AIを研究するなかで「では、そもそも知性とは何なのか」と問い続けているかどうか、ということ。その観点がない論考は、この本の言葉を借りれば、AIについて語っているのではなく、AI技術について語っているにすぎない。著者は「真のAIはまだ存在していない、AI技術があるだけだ」と言うが、それは結局のところ、著者に語れるのはAI技術だけだと白状しているように読めてしまう。

後半は「教科書が読めない子どもたち」に関する調査・考察がメイン。読解力スキル検査というツールを開発して問題を可視化したのは大きな功績だし、どんどん発展させていくべきだと思うけど、どの教科であれ「教科書を読んで理解できるような言語能力」がすべての基礎であるという結論は、個人的には30年くらい前にはすでに実感していたことなので、あまり新鮮味はないなぁ。

 

 

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