涌井良幸、涌井貞美『中学数学でわかる統計の授業』(日本実業出版社 )

翻訳をやっていると、自然科学分野でなくてもときどき補足的な説明として統計用語が出てきて(この調査は……を用い、信頼区間はxxである、みたいな)、「これ的確に訳せているのかな」と不安に思うことがある。高校ではいちおう文系選択だったので、当時の教育課程では3年次の理系科目だった「確率・統計」を履修していないのである(物理は理系クラスに混じって履修していたのだけど)。

というわけで、何となく手にした、この本。

読書の目的は達したけど、満足感はない。分かったようなふりをして、間違いのない表現をすることは、これでたぶんできるようになった。恐らく、Excelとかを使って実務的にデータ処理をするにも、この程度の知識で十分なのかもしれない。

でも、表題にある「中学数学でわかる」というのは、要するに「なぜそうなるのか」という証明や導出過程は全部スッ飛ばして、「これはこういう性質なのだと覚えておいてください」「これはコンピューターで簡単に求められます」で済ませてしまう、という意味である。

というわけで、少しも面白くないのであった。まぁこういうタイトルの本に知的満足を求めちゃダメだというだけの話なのだけど。

 

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