ミシェル・ウェルベック『服従』(大塚桃訳、河出文庫)

しばらく前に話題になっていたので気にしていたのだけど、文庫化されたので読んでみました。

「イスラム主義政党がフランスで政権を取る可能性」という想定の、近未来政治小説とでも言おうか。舞台になっているのは2022年なので、「次」ということになります。国民戦線のマリーヌ・ルペン、フランソワ・オランドといった政治家も含め、実在の人物の名もたくさん出てきます。

しかし、設定というかアイデアはたいへん面白いのだけど、残念ながら、小説としては出来が悪い。

このあいだ終わった2017年大統領選の展開・結果がこの小説の想定とはまったく違ってしまったのはもちろんしかたないとして、そもそも、この小説のなかで設定された状況が、後半になってかなりの程度なおざりにされてしまっているのです。なんか、面白い設定を思いついて書き始めたのだけど、途中で面倒くさくなって放り出しちゃった感じ。

というわけで、興味深い点がなくはないけど、あまりお勧めはしません。

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