周司あきら、高井ゆと里『トランスジェンダー入門』(集英社新書)

けっこう前だがアイリス・ゴッドリーブ『イラストで学ぶジェンダーのはなし みんなと自分を理解するためのガイドブック』を読んでいたので、ある意味、トランスジェンダーに特化した復習という感じ。ただしこちらの方が日本の事情に密着していて、ある意味、生々しい印象はある。

性別というのは、世界を分節して認識する仕組みという意味で、一種の「ことば」なのだなぁと強く感じる。「ことば」だけに、そこから脱して/外れて思考することは、たぶんそれなりの訓練を受けていないと難しい。トランス男性/トランス女性も、その仕組みじたいを抜け出ることはないままに、その中で自分の位置付けを定めるのに苦心しているように見える。

もちろん、その枠組の中で苦しまずに済むような社会の構築が「とりあえず」急務なのは当然として、しかし根本的には、この本の中でも再三にわたって言及される、ノンバイナリーな考え方、二分法の仕組みに囚われない考え方が必要なのだという気がする。

 

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