アーネスト・ヘミングウェイ『日はまた昇る』(新潮文庫)

先日依頼を受けた翻訳原稿が、牛追い祭りで有名なパンプローナとヘミングウェイのご縁についての内容で、文中に本作品からの引用が1カ所あった。念のため既訳を参照しようと思って、買い物に出た家人に頼んで駅前の書店で買ってきてもらった(こういう作品をサッと当たり前のように買えるのが、この「駅前の書店」の優れた点である)。当該箇所はすぐに見つかったのだけど、ちょっと意訳しすぎている気がして、結局、自分のオリジナル訳にした。

で、せっかくだからと思って、読んでみた。

けっこう面白かったのだけど、印象的だったのは、パリからバイヨンヌに鉄道で移動し、そこから車を雇って国境を越え、スペインに入る部分。スペインに入ってからの描写が、まさにブエルタ・ア・エスパーニャの中継で目にする風景を彷彿とさせる。と思っていたら、終盤、主人公はサンセバスチャンで現地のレース(クラシカ・サンセバスチャンとは書いていなかったと思う)に参戦するプロ自転車チームの面々と出会い、「ツールドフランスはすごいぞ」みたいに売り込まれる(笑) 翌朝のスタートを見送ろうかと思ったのだけど、起きたらスタート時刻はとっくに過ぎていた、みたいな展開。

釣りが好きな人のための場面もある。

当該の記事は、今でも、ヘミングウェイのこの作品に惹かれてパンプローナを訪れる人は多い、みたいな内容だったのだけど、さもありなん、と思わせる佳作。

 

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