確か新聞の書評で見かけて、面白そうだなと思って読んでみた。まぁタイトルから想像できるように、親しみやすい、軽く読める本ではあるけど、タイムトラベルにせよ宇宙論にせよ、ベースとなる「物理学」は本格派である。諸々のSF映画作品で描かれている要素について、実際の物理学の知見に照らして考えるとどうなのか、ということを、野暮にならない程度にツッコみつつ、考えていく体裁。というより、SF映画を切り口に現代物理学を紹介している、と言うべきか。大学の一般教養課程における文科学生向けの自然科学系の講義だったら、大人気になりそうな雰囲気。
「ネタバレがあるので、題材にしている作品を観てから読んだ方がいい」と断り書きがあるが、自分がすでに観た作品を基準に判断すると、作品を楽しむうえで致命的とまでは言えないような気がする(私は観ていない作品の章も含めて全部読んでしまった)。ちなみに本書で取り上げられている作品のうち私がすでに観ていたのは、『ターミネーター』シリーズ、『ゼロ・グラビティ』、『スターウォーズ』シリーズ、『オデッセイ』。有名な『バック・トゥ・ザ・フューチャー』はなぜかご縁がなくて1作も観ていない。
同じ著者の『時間は逆戻りするのか』『宇宙人と出会う前に読む本』(いずれも講談社ブルーバックス)も読みたくなるが、他にも読まなければならない本が溜まっているので、しばらく我慢。