前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』(光文社新書)

新型コロナによるパンデミックも大変だが、むしろ深刻なのはバッタの大量発生(蝗害)のほうかもしれない。中国がバッタ禍に備えてアヒルの大部隊を用意しているなんてちょっと面白いニュースもあったが(真実かどうかは不明)、どうもアフリカ~西アジアだけではなく、南北アメリカ大陸でも大量発生が見られるようだ。

で、そういえばこんな本が家にあったなと思って読んでみた。

『ファーブル昆虫記』に憧れて昆虫学者をめざす30代前半のポスドク研究者である著者が、無職無収入の恐怖に脅えつつ、単身アフリカに渡って蝗害の主力となるサバクトビバッタを研究するフィールドワークに身を投じる話。

この本を読めば今般のバッタ禍をより良く理解するための知識が得られるかというと、そういうわけでもない(それでもさすがに孤独相・群生相なんて言葉には馴染んでくる)。むしろ、現代において夢を追う若者の奮闘記という印象。その意味では少し肩透かしを食らった感はあるが、とはいえ、話は面白いし、「聖地訪問」のくだりにはなかなか涙を誘われた。

こういう本を読むと、そういえば自分は夢を追う人生を歩んではこなかったなぁ、としみじみ思ってしまう…。まぁそのときどきに興味のあるものを楽しんできただけなのだよね。それはそれで幸せだし楽しくはあるのだけど。

 

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