少し前に読んだのに書くのを忘れていた。
「観る将」(自分は指さないが、観るだけの将棋ファン)を視野に入れた、文化としての将棋をいろんな側面から語る本。
冒頭の羽生・梅原の対談はやや散漫な気もするし、羽生の話については他でも語られていることがけっこう多いのだけど、プロ棋士はAIには勝てないということがもはや当然の前提として語られていることはさすがに感慨深いし(本書は2019年6月刊)、やや唐突に飛び出る梅原の靖国神社考なども、ほほうと思わせる。考古学的なアプローチ(原則として出土品に裏付けられない主張は慎む)から見た日本将棋の誕生に関する考察や、「駒」という点から一点集中的に将棋を考える章も面白い。
Amazonのレビューには「やっぱり少しは指せる人でないとこの本は楽しめないのではないか」という意見もあったが、駒の動かし方を知っている(忘れているかもしれない)程度の家人も楽しく読んだようなので、その心配はなさそう。