ジュリオ・トノーニ、マルチェッロ・マッスィミーニ『意識はいつ生まれるのか』(花本知子・訳、亜紀書房)

少し前に読了。

その前に読んだスターンバーグの著作に比べると、だいぶ得るところは多い。ただ、意識を生み出す脳の状態(多様性と統合)という、いわば意識を成立させる物理的な条件についてはかなりの程度踏み込んでいるのだけど、ではそもそも意識とは何なのかという本質については、「ああ、もうちょっとなのに」という示唆はそこここに見られるものの、「届いていない」感がある。

やはりそのためには、哲学的な考察はさておき、新生児から成人への発達とか、もっと単純な構造の動物から進化していくとか、そういう発生論的なアプローチが必要なのだろうと思う。

その意味で『タコの心身問題』は(今年になって読んだばかりではあるが)再読する必要があるかもしれない(この本にも頭足類への言及はあり、学術書ではなく一般向けの科学啓発本という著者自身のポジショニングからこの本では出典・参考文献が示されていないのだが、恐らく『タコの心身問題』も踏まえているのではないかと想像される)。

結局のところ、この問題を考えるうえでは、「意味」と(したがって)「関係」という観点から切り込んでいくしかないのではないか、と思っている。

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