鈴木道彦『余白の声~文学・サルトル・在日 鈴木道彦講演集』(閏月社)

先日の『プルーストを読む』に続いて、Amazonで目についた同じ著者の本。Amazonの「内容紹介」にもある「『なぜフランス文学の泰斗が、在日問題を?』との疑問」を感じて、図書館で借りてみた。

「講演集」という副題を見落としており、最初はけっこう身構えていたのだけど、柔らかい語り口で読み進められる。ただし内容は濃い。思想の流行り廃りの激しい日本ではサルトルなんて今どき読まれないけど、という前置きから「アンガージュマン」のあり方を探っていく感じ。著者の在日韓国・朝鮮人への関心も、そこから深まっていく。

いわゆる嫌韓的な感情については、わりと身近なところでも目にして、そのたびに苦々しい思いを味わっているのだけど、結局のところ、植民地主義から「解放」されていない日本人というのはけっこう残っているのだろうなぁ、と思う。例の徴用工判決あたりで噴き上がっている連中を見ると、ああ、この人たちはまだ植民地根性に支配されているのだな、と思う。

読みやすい本だったけど、消化するのはなかなか時間がかかりそう。小松川事件や金嬉老事件あたりも気になる。『越境の時』も買ってしまった。

 

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください