ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア『たったひとつの冴えたやりかた』(浅倉久志・訳、ハヤカワ文庫SF)

図書館で借りた版は、表紙や本文内に川原由美子のイラストが使われていたのだけど、どうも現行版では変わっているようだ。Amazonの画像で見る限り、こちらも悪くはなさそうだが。

さて、洒落たタイトルと上記のような装幀の印象から軽いタッチなのかと思っていたが、内容的には思ったより本格的なSFだった(※)。図書館の司書が利用者に対して「こんなのはどう?」とノンフィクションを3つ提案する、という設定による連作3篇。冒頭の表題作での、脳内に寄生・共生するエイリアンという設定が先日読んだ『地球の長い午後』と重なるのが奇妙な符合。最後の1篇は異言語コミュニケーションという主題もあって、翻訳屋としては面白い。真ん中の1篇も、解釈の幅を許す終わり方で良かった。

これはけっこうお勧めです。

※ といっても、文体はけっこう柔らかいので、イラストも結局のところよくフィットしていた。

 

 

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