何かのきっかけで知って図書館で予約したのだが、2017年12月刊行と新しい本なのでだいぶ待たされるかと思ったら、そうでもなかった(でも私の後には予約が14件入っている……)。
我々ホモ・サピエンスの出現前、アジアには実に多様な「人類」がいたことがわかってきた。そして「彼ら」は、我々の祖先と共存する「隣人」だったかもしれない!(本書裏表紙の惹句より)
と、あるのだけど、そこにロマンを追い求めるのも分からなくはないが、そういう捉え方自体は、現代の視点に囚われた大いなる勘違いだよな、という気がする。数万年にわたる歳月のあいだ、中国に北京原人、ジャワ島にジャワ原人、フローレス島にフローレス原人がいたところで、それは実は少しも現代的な意味合いで言う「多様性」ではないし「共存」もしていない。
ただ、実績ある著者だけあって、ロマンに浮かれつつも(笑)、そのへんについては、終盤の「どこにでも行ける人類」~「均質化の未来」(この節は大変よい)である程度は意識されているし、そこから「宇宙への拡散」に転じるところは、さすがとしか言いようがない。
まぁそういう理屈っぽい話はさておき、やはりもう少し文明寄りのテーマの方が楽しめるなぁ、というのが正直なところ。それを言っては身も蓋もないのだけど。