森博嗣『すべてがFになる』(講談社文庫)

ラグビー観戦仲間が気に入っている著者とのことで、ひとまず、デビュー作を読んでみた。

最初のうちは、登場人物の設定に違和感というか苛立ちのようなものを感じたり、やや猟奇的な匂いが気にくわなかったりもしたのだけど、さすがに途中からは惹きこまれる。『パラサイト・イヴ』では途中からウンザリしてきたのに比べて、こういうのは嬉しい。

というわけで、面白かった。終盤は、これを読み進めたいがために自転車通勤を諦めたり(=電車なら通勤中に読める)、金曜日に会社に置き忘れかけて「あと30頁くらいなのに週末を越せるか!」とわざわざ取りに戻ったり(笑)

といっても、不満は大いにある。「先生、その推理は無理があるでしょう!」「それって全然○○ぽくないでしょう!」……みたいな感じ。設定にもやや矛盾がある気がする。でも、それは要するに、読みながら「こういうことかな」とあれこれ推理をめぐらせていた、ということなので、ミステリとしては必ずしも悪い評価ではない。

問題は、他にも非常に多くの作品がある著者なので、次にどれに手をつけるのかが難しいところ。

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