松木武彦『縄文とケルト:辺境の比較考古学』(ちくま新書)

近所の書店で見かけて気になり、図書館で予約してみた。新刊書は予約待ちリストが長い場合があるのだけど、これ(2017年5月刊)はわりとすぐに借りられた。

面白かった。

この本を参考にイギリス(正確にはブリテン島)の古代遺跡を見て回る人を想定しているのか、「レンタカーを借りて回るのがベストだろう」とか「ここは是非立ち寄りたいところだ」みたいなガイドブック的要素があって、「行かねぇよ!」とか思うのだが、でも遺跡巡りマニアみたいな人はけっこうたくさんいるんだろうな(笑) 自分はそこまで没入することはないと思うのだけど、それでも、著者が遺跡を追ってクルマを走らせる、その過程の風景描写には心惹かれるものがある。

ちなみに、タイトルに「ケルト」とあるが、ブリテン島に関する記述のかなりの部分は、実際にはケルト以前、先ケルト~原ケルトと著者が呼ぶ時代についてである。

比較考古学ということで、ユーラシア大陸の東端と西端の辺境=日本とブリテン島を対比し、「ここまではほぼ一緒なのに、どうしてその後の展開はこうも変わってしまったのか」と考察する部分がこの本のハイライトなのだけど、そこはやはり理屈になってしまうので、そこに至るまでの、文字資料のない時代の遺跡を推測を交えつつゆるゆると辿る部分が楽しい。

地図がやや小さいのと、現代の都市名などが記載されていないので、Googleマップとか見ながら読むといっそう楽しいかも。

 

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