全編を通じて面白いが、各章の導入部ではすいすいと話が進んでいくのに、章の結末では何とも煮え切らない、地味な結論(?)にたどりつく。しかしむしろそこに、「こうだ!」と断定しきれない著者の逡巡、ためらい、つまるところは誠実さが現われているように思う。この本を読んだ若者が「よーし私も政治学をやるぞ!」と思うかどうかはかなり疑問だけど、「政治」について考えるうえで味わい深い本である。今回は再読なのだが、また読むことは確実。ちなみに、全120頁。最後の読書案内を除けばわずかに100頁くらい。
政治学 (ヒューマニティーズ)| 苅部 直
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