この「リンカーン・ライム」シリーズを教えてくれたのは京都に行くたびに立ち寄っているバーの店主であるはずなのだが、どういう流れで教わったのかをすっかり忘れている。
今回、久しぶりに京都を訪れることになったのを機に、ふと思い出して、読んでみた。
「鑑識」という超絶マニアックな分野を軸に連続殺人犯を追い詰めていく話なのだけど、殺害方法がかなり陰惨というか猟奇的で、それに対応して鑑識の手法もかなり目を背けたくなるようなことになっているので、途中で受け入れられなくなる読者もけっこう多いのではないか。
それに耐えて(?)読み進めていくうちに、だんだんこちらも犯人の発想というかリンカーンの発想に共振していく部分が出てくるのが怖いところで、ネタバレになるので書けないのだけど、「あ、これは犯人によるトリックで、つまり誰かの○○を…」みたいなのは登場人物よりも先に看破できるようになる。
読み方が甘かったのか、最終盤では「ええと、それ誰だっけ」みたいに前のページを繰ることになってしまったのだが、まぁそのへんの謎解きというか犯人の正体は何者かみたいな部分は、この作品の面白さの核ではない、とも思える。
とはいえ、最後の最後のどんでん返しというか、「続く」的な展開には凄みがある。同シリーズ第2弾は、別にこの「続き」ではなさそうではあるが。