『女ことばと日本語』からの流れというか、いわゆる「国語」への関心が続いているのは、半ば仕事柄と言ってもよさそうである。
明治維新以降の、国民国家を構築する過程での「国語」成立をめぐるスッタモンダから、「大東亜共栄圏」の共通語化をめざす「国語」につきまとった問題に至る、上田万年・保科孝一という2人の国語学者を軸にした通史的な考察。
取り上げられる「国語」をめぐるあれこれの主張を見ていると、私自身はけっこう「国語」に関しては保守的かもしれない、と思う。
ラグビーでは、日本代表を筆頭に日本のチームでプレーする他国出身の選手も増えているし、そういう他国出身者、非日本語ネイティブスピーカーへの日本語教育という点も含めて、本書の末尾でちらりと触れられている「非日本的日本語」というのも非常に気になるテーマである。著者が参加している『「やさしい日本語」は何を目指すか: 多文化共生社会を実現するために』もいずれ読んでみたい。