『ヒトラーとナチ・ドイツ』を読んで、では、そうした体制・社会に対する抵抗はどのように可能/不可能なのか、と思って、これに進む。
抵抗そのものの難しさについて思うところはいろいろあるのだけど、それにしても、戦後(1950年代)の西独で、ヒトラー/ナチに抵抗した人たちが依然として(全面的にではないにせよ)「裏切り者」扱いを受けており、復権には時間を要したという点に衝撃を受ける。その意味で、ドイツの敗戦は日本の敗戦とはだいぶ違う。
それと、戦後~現代のドイツにおいて「キリスト教」を正面から名乗る政党(ドイツキリスト教民主同盟=CDUと地方政党・キリスト教社会同盟=CSU)が、常にではないにせよ政権を握っていることについて「現代の民主政国家なのに政教分離はどうなっているんだ?」という疑問を以前から漠然と抱いていたのだけど、この本では、直接的にCDU・CSUに言及してはいないものの、その点についての興味深い解説がなされていた。要は、世俗国家の暴走を阻む上位の審級としての宗教倫理、という観点。