先日、京都でいくつかの個性的な書店を回ったなかで気になった本。買うまではどうかなぁと思ったので図書館で借りてみた。
旧日本軍(陸軍・海軍)及びその附属教育機関で、どのように外国語が教えられてきたのか、それがどのように戦争をめぐる政策に影響してきたのか、という研究。当初は英国を手本とし、後に米英を仮想敵国としてきた海軍では英語が重視され(理由はそれだけではないとはいえ)、当初は仏・独を手本とし、ロシア~ソ連を仮想敵国としてきた陸軍では仏・独・露語が重視され、軍中枢部にも外国語別の学閥ができて……みたいな興味深い話。結果的に英語の比重が小さくなったせいで、ナチスドイツ過大評価、米英過小評価、という流れにつながった可能性がある、と。
私の父方の祖父は当時それなりの立場にある英語教育者だったはずだが、軍への協力を拒否していろいろ苦労したという話も聞いたが、民間に留まった人の話は残念ながらこの本には出てこない。そういえば伯父は陸軍幼年学校に進んで(祖父には反対されたようだが)、当時習ったロシア語を今でも覚えている、みたいな話を何度か聞いたが、上述のようなロシア語重視の陸軍という背景があったわけだな、と思い至る。