リスンイル『ラグビーをひもとく』(集英社新書)

レフリーの視点から、あるいはレフリングという観点から、ラグビーの法(Law)と精神(Sprit)を解説した本。

いや、大変に面白かった。といっても、これからラグビーを観てみようという人には全然お勧めできない。この本の内容をほとんどまったく分かっていなくても、ラグビー観戦は十分に楽しいものだし、そうやって気軽に楽しめるラグビーの魅力をこの本が紹介しているわけではない。プレースタイルや戦術や具体的なスキルについてもほとんどまったく触れていない。

ただ、それなりに観戦経験のある人(※)なら、(理想的な)レフリーがどのように試合を進めていくのかが良く伝わってくるし、これまで試合を観てきて微妙に疑問だったポイントが、「ああ、あれはそういうことだったのか!」と説き明かされる部分が多々ある。

恐らく、プレイヤーであってもちゃんと理解していないルールの細部に踏み込む内容なのだけど、それでもなお、「だからラグビーは面白いのだな」と思わせてくれるという意味で、実に楽しい本である。

早く次の試合を観たい、そしてルールブックをダウンロードしなきゃ、と思わせる。

刊行は2016年6月。その後のルール改正もあるので、「あ、ラックの定義が今とは違うな」「ラインアウトモールへの不参加については運用が変わったはず?」みたいな古さがすでに散見されるのだが、なぜ、どのような方向でそうやってルールが頻繁に改正されるのか、という点にも言及されている。

※ それなりに観戦経験のある人、というのがどの程度かというと、まぁこれまでに10試合以上は観ている、くらいだろうか。少ないって?(笑) いや、人によってはそれで十分「知らない」ではなく「分らない」部分が見えてきているはず。

(著者名の漢字表記は「李淳馹」。最後の字(馬ヘンに日)が、きちんと表示されるか分らなかったので片仮名表記にした)

 

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