ときおり将棋関係の本を読むのだけど、ノウハウ本(「勝てる○○戦法」の類)はここには記録しておらず、書くのはこういう一般的な内容のものだけ。先日の『棋士と哲学者』には将棋の話の比重はそれほど高くなかったのだけど、何となく将棋関連の本も読みたい気分になっている。
この本は、「棋士はふだんどういう生活をしているのか」みたいな話も含めて、将棋にあまり詳しくない人にその世界を紹介する感じの本。スポーツ観戦と同じように、自分でプレーしない人でも「観る将棋ファン(観る将)」として楽しんでもらいたいという動機で書かれていて、将棋のルールの説明とかは巻末にあっさりまとめられている程度なのだけど、序盤・中盤・終盤にそれぞれどんなことを考えているか、それぞれの段階でどの程度の集中力を発揮しているのか、といったあたりに頁が割かれているあたりに工夫を感じる。
すでに将棋に詳しい人には物足りないだろうけど、「動かし方は知っている」くらいの人にちょうどいい本なのではないかな。2007年発行の単行本の増補改訂・文庫化なので、古さを感じる部分はあるけど。
【追記】書くのを忘れていた。本書の素晴らしいところは、最初の方で、タイトル戦終盤の勝負どころを描く観戦記の一節を引用し、棋士(著者vs佐藤康光)の奮闘ぶりを紹介しているのだが、本書の後半、「ではプロの将棋をごらんいただきましょう」的に数局分収められている自戦記で、その一局が丸ごと解説されているところ。これが最初の方で紹介したあの場面ですよ~と明示されていないところがニクい。
【追記2】何となくそんな気もしていたのだが、過去の記録を漁ったら、2007年の新書版も10年前(2009年)に読んでいた(笑)